南アフリカのFTA

南アフリカ共和国が締結するFTAやEPA、PTAといった協定には、同国が単独で締結するものと、SACU(南アフリカ関税同盟)の一員として締結しているものとがあります。同国の貿易政策は、2000年前後から、SACUの体制見直し、SADCの自由貿易圏形成などの動きを見せ、2009年に成立したズマ政権からは、特に貿易自由化と産業保護のバランスを重視した戦略的な関税政策をとっているといわれています。単に関税を撤廃するだけでなく、産業の育成・雇用確保を視野に入れた産業セクターごとの戦略的関税政策がとられており、貿易の手続き面での管理強化や自国での地場産業の損失となるようなことにならないよう、配慮の動きが見られます。

南アフリカはケープタウンを擁し、現在も海運の要衝の一つですが、南部アフリカ地域においては域内のGDP3割から4割を占める同地域経済の牽引役でもあります。自由貿易圏をエリア別に見ると、EU諸国とEFTA諸国、南アフリカ諸国などFTA網はまだ限られていますが、今後SACUの自由貿易圏も広がっていく可能性があります。

なお、同国では燃料や鉱物をはじめとする資源類や、自動車など一部の品目では輸出に当たって許可が必要となっています。

南アフリカのFTA、EPAの一覧

南アフリカのFTA締結国、交渉国、協定
締結国、交渉国 協定状況
SACU(南アフリカ関税同盟) 南アフリカ、レソト、スワジランド、ナミビア、ボツワナの5カ国間による関税同盟で、域内の貿易では原則関税がかからない。また対外的には共通の関税率を設定している。2004年発効。
SACU-EFTA FTA、2008年発効。EFTAは、スイス、リヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェーの4カ国。
SACU-MERCOSUR PTA(特恵貿易協定)
SACU-アメリカ 貿易と投資、開発協力に関する協定(TIDCA)
SACU-インド PTA(特恵貿易協定)。交渉中。
南部アフリカ開発共同体(SADC: Southern African Development Community 自由貿易協定としては2000年に発効。次の15カ国が加盟。アンゴラ、ボツワナ、コンゴ、レソト、マダガスカル、マラウィ、モーリシャス、モザンビーク、ナミビア、セイシェル、南アフリカ、スワジランド、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ。
南アフリカ-EU(TDCA) FTA。貿易・開発に関わる特恵貿易協定で自由貿易圏の漸進的導入を目指したもの。2000年発効。

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